01
法定相続人とは?代襲相続や法定相続分について解説
相続では誰が法定相続人になるのかなどが非常に重要になります。
今回は、法定相続人や代襲相続、また法定相続分等について考えていきたいと思います。
法定相続人とは?
法定相続人とは、被相続人が亡くなった際に、その遺産を法律に基づいて受け取る権利を持つひとのことをいいます。
民法においてその範囲と順位が明確に定められています。
法定相続人と似た言葉に、相続人という言葉があります。
ほぼ同じ意味で使われていることもありますが、厳密にいうと違います。
法定相続人とは、相続開始時点で相続権を有していることを指します。
一方、相続人とは実際に被相続人の遺産を承継するひとのことです。
法定相続人には、相続放棄を行った者が含まれますが、相続人には含まれません。
具体的な範囲について、それぞれ考えていきたいと思います。
配偶者
被相続人の配偶者は、常に法定相続人となります。
ここでいう配偶者とは、被相続人と戸籍上の婚姻関係のある者を言います。
内縁の妻や事実婚など、法律上夫婦ではない関係では相続人になる権利を有することはできません。
相続では、被相続人の財産を一緒に築き上げてきた者として、相続税の配偶者控除だったり、配偶者居住権だったりといった制度があります。
子ども
被相続人の相続順位第1位の子どもが法定相続人です。
婚姻関係により生まれた嫡出子のほか、婚姻外で生まれた非嫡出子、養子なども含まれます。
ただし、被相続人が非嫡出子の父親だった場合には、生前、または遺言書などで認知している必要があります。
非嫡出子を認知していない場合、法的な親子関係が認められないため相続人になることはできません。
また、胎児も生まれてくれば相続権を持つとされます。
子どもがすでに死亡している場合には、その子ども(被相続人の孫)が代襲相続人となるため、次世代への相続権の移転も認められています。
親
被相続人に子どもがいない場合、相続順位第2位の親が法定相続人になります。
ただし、当然ではありますが親が法定相続人になるには、相続開始時点において「存命中」であることが条件です。
親が亡くなっている場合、祖父母が存命中のときには遡って法定相続人になります。
兄弟姉妹
子どもも親もいない場合には、相続順位第3位の兄弟姉妹が法定相続人となります。
なお兄弟姉妹の場合、被相続人との血縁関係の遠さや、経済的に自立していることなどを理由に、他の法定相続人に認められている遺留分はありません。
代襲相続とは?
代襲相続とは、本来相続人となるべき人が被相続人よりも前に死亡しているとき、その相続人の子が代わりに相続する制度です。
子どもが亡くなっていれば、その子(孫)が代襲相続人となります。
また、兄弟姉妹が相続人で、その兄弟姉妹が死亡している場合も、その子(甥や姪)が代襲相続人になります。
ただし、兄弟姉妹に関する代襲相続は一代限りで、さらに下の世代には及びません。
法定相続分とは?
法定相続分とは、文字通り法定相続人がどの割合で遺産を相続するかを民法で定めたものをいいます。
遺産分割は、必ずしも法定相続分で分割する必要はありませんが、実際の分割時に参考となる数値であり、また遺留分などの計算にも利用する重要な割合になります。
法定相続分は、相続人が複数人いた場合、同順位であれば基本的に等分することになります。
ただし、配偶者の組み合わせだったときには割合が異なります。
それぞれの組み合わせから確認していきたいと思います。
配偶者+子どもの場合
配偶者と子どもが相続人となる場合、配偶者は遺産の2分の1を相続します。
残る2分の1は子どもたちで、等しく分け合います。
たとえば、配偶者と子ども2人が相続人だった場合は、配偶者が遺産全体の2分の1、子ども2人はそれぞれ4分の1ずつの割合を取得することになります。
なお、一人の子どもが相続放棄した場合は、放棄した子どもの取り分を他の子どもが分け合うことになります。
代襲相続が発生する場合には、亡くなった子どもの子ども(孫)がその割合を引き継ぎます。
配偶者+親の場合
被相続人に子どもがいない場合、配偶者と親が相続人となります。
この場合、配偶者の法定相続分は3分の2、親は3分の1となります。
両親とも健在であれば、3分の1を2人で等分します。
片方の親のみが存命である場合には、その1人が3分の1を全て相続します。
配偶者+兄弟姉妹の場合
子どもも親もいない場合、配偶者と兄弟姉妹が相続人となります。
このケースでは、配偶者の法定相続分は4分の3、兄弟姉妹が4分の1を相続します。
兄弟姉妹が複数いる場合は、人数に応じて等しく分け合います。
異父母兄弟の場合には、全兄弟の半分の割合とされている点に注意が必要です。
まとめ
今回は法定相続人とは何か、代襲相続や法定相続分について考えていきました。
相続において、法定相続人や法定相続分の把握をしておくことは非常に重要です。
とはいえ、必ずしも法定相続分で遺産を分割しなければならないわけではありません。
相続が発生して、何か困ったことや不安なことがあったときには弁護士に相談することを検討してみると良いかもしれません。
02
当事務所が提供する基礎知識
Main Business
-
国選弁護人と私選弁護...
国選弁護人と私選弁護人の違いとしては、まず誰が選任するかという点が挙げられます。国選弁護人はその名の通り国が選んだ弁護人であり、私選弁護人は、被疑者(俗にいう容疑者)や被告人(起訴された被疑者のこと)、その家族などが私的 […]
-
遺産分割協議とは
遺産分割協議とは、被相続人が残した遺産を分割するにあたり、その種類や割合などを相続人間で話し合うことをいいます。 相続に当たっては、民法により相続人や相続人が取得する遺産の割合について規定があり、また財産を残す […]
-
自己破産をすると就職...
事情は人によってさまざまですが、毎月の借金返済に困っている方は少なくありません。そのような際には、債務整理を検討することになります。債務整理の1つの方法として、自己破産が存在します。ここでは、自己破産についてご紹介します […]
-
離婚調停の不成立|そ...
離婚の方法には、⑴協議離婚、⑵調停離婚、⑶裁判離婚の3種類があります。本稿ではこれら3種類の離婚方法のうち、調停離婚に着目し、調停離婚の定義から離婚調停が不成立になった後の流れや対処法までを詳しく解説いたします。調停離婚 […]
-
相続財産と相続人の範...
相続財産とは、相続により相続人に承継することになる被相続人の権利義務一切のことを言います。つまり、被相続人が亡くなった時点で有していた預貯金や不動産などのプラスの財産と、借金などのマイナスの財産のすべてが相続財産に含まれ […]
-
債務整理を弁護士に依...
借金の返済が滞って困っている方は、弁護士に債務整理を相談することをお勧めします。債務整理にも種類がたくさんあり、借金の額や返済状況、財産状況によって適した手続きが異なります。そのため、弁護士に相談し、お客様それぞれに見合 […]
03
よく検索されるキーワード
Search Keyword
04
弁護士紹介
Lawyer
菅沼 圭Kei Suganuma
当事務所では個人の法律問題はもちろん法人の企業法務まで幅広い法律問題に対応しております。
どうぞお気軽にご相談ください。
- 所属団体
-
- 静岡県弁護士会(登録番号50851)
- 経歴
-
- 出身地 駿東郡小山町
- 2007年3月 静岡県立沼津東高等学校 卒業
- 2011年3月 中央大学法学部法律学科 卒業
- 2013年3月 中央大学法科大学院 修了
- 2013年9月 司法試験合格
- 2013年11月 最高裁判所司法研修所入所(第67期司法修習生)
- 2014年11月 司法修習終了
- 2014年12月 弁護士登録(静岡県弁護士会)
- 2015年1月 細沼法律事務所(沼津市)にて勤務開始
- 2020年5月 細沼法律事務所を退所、菅沼法律事務所を開設
05
事務所概要
Office Overview
事務所名 | 菅沼法律事務所(静岡県御殿場市) |
---|---|
弁護士 | 菅沼 圭(すがぬま けい) |
所在地 | 〒412-0042 静岡県御殿場市萩原631番地2 富士ビル2階 |
TEL/FAX |
TEL:0550-75-7005 / FAX:0550-75-7006 |
営業時間 | 9:00~17:30 |
定休日 | 土・日・祝日 |
その他 |
※お電話のみでのご相談はお引き受けしておりません。 ※初回相談有料(受任した際の着手金に含まれます。) |